人材・労務8

建設業キャリアアップシステムは入れるべきか

登録料はいくらか、何が返ってくるか、いつから避けられなくなるか。CCUSの費用と加点と義務を公式の数字だけで並べて、入れる会社と待てる会社を分けた。

CCUSの費用の内訳。技能者登録料は簡略型2,500円・詳細型4,900円で技能者または代行する事業者が登録のときに払う。事業者登録料は資本金によって決まり5年ごと、1億円以上は120,000円から2,400,000円。管理者ID利用料は1IDあたり年11,400円、現場利用料は1人日1現場あたり10円で元請が事後精算する図

先に結論 三つのうちどれかに当たるなら入れる

建設キャリアアップシステム(CCUS)を入れるかどうかは、好き嫌いで決める話ではない。自社の仕事の入口がどこにあるかで決まる。公共工事を元請で取りにいく、外国人を雇う、公共工事の下請に入る。このどれかに当たるなら、入れないことで失うもののほうが登録料より大きい。どれにも当たらないなら、いま急いで登録しなくても仕事は止まらない。

  • 公共工事を元請で受注する 経営事項審査の加点と発注者の総合評価に直接効く
  • 特定技能か技能実習の外国人を雇う 事業者登録と本人の技能者登録が計画認定の要件になっている
  • 公共工事の下請に入ることが多い 元請がCCUSで現場を開くと施工体制と技能者の登録を求められる

民間工事だけを、外国人を雇わずに回している会社に罰則はない。ただし取引先の元請が公共工事へ軸足を移せば、数か月で立場が変わる。先送りするなら、その日が来たとき何日で登録が済むかだけは知っておく。

いくらかかるか

かかる費用は四つ。技能者登録料、事業者登録料、管理者ID利用料、現場利用料。払う人と払う周期がそれぞれ違う。

費用金額(税込)払う人周期
技能者登録料 簡略型2,500円技能者 または代行する事業者登録のとき
技能者登録料 詳細型4,900円技能者 または代行する事業者登録のとき
事業者登録料資本金による事業者5年ごと
管理者ID利用料1IDあたり11,400円事業者毎年
現場利用料1人日1現場あたり10円元請事業者事後精算

事業者登録料は資本金で決まる。一人親方は0円。下の表は資本金1億円未満まで並べたもので、1億円以上はさらに区分が続き、120,000円から2,400,000円まで上がる。有効期限は登録が完了した日から5年後の登録月末までで、そこを過ぎるとシステムが使えなくなる。

資本金事業者登録料(税込)
一人親方0円
500万円未満(個人事業主を含む)6,000円
500万円以上 1,000万円未満12,000円
1,000万円以上 2,000万円未満24,000円
2,000万円以上 5,000万円未満48,000円
5,000万円以上 1億円未満60,000円

管理者IDは事業者登録をすると自動で一つ作られ、登録料とは別に翌月に請求が来る。1IDあたり年11,400円、一人親方は2,400円。現場管理者として登録したIDには利用料がかからない。代行登録担当者のIDも当面のあいだ課されない。人数分のIDを買う必要はない。

現場利用料を払うのは、現場と契約情報を登録した元請だ。技能者20人が50日就業した現場なら20人×50日×10円で1万円。同じ現場に朝と昼休み後の2回入っても1人日で10円だが、午前と午後に同じ元請の別現場へ入れば2現場分で20円になる。

事業者登録の更新は有効期限の6か月前から申請できる。出すのは変更があった箇所だけで、変更がなければ証明書類の添付もいらない。期限までに更新申請をしないとCCUSが利用できなくなるので、遅くとも1か月前までに動く。

入れると何が返ってくるか

公共工事の入口が変わる

2026年2月19日の時点で、47都道府県すべてが企業評価の導入等を表明している。指定都市は2024年7月1日に20市全部が表明済みで、市区町村も90以上が続いた。総合評価の加点、入札参加資格、モデル工事という形で、CCUSを使っているかどうかが受注条件の内側に入ってきている。

国の直轄工事では、一般土木工事の本官発注分について原則モデル工事が実施されている。モデル工事ではカードリーダーの設置費用と現場利用料を実績に基づいて発注者が負担する。持ち出しの出ない現場で慣らせる。

経営事項審査の点数

経審には、就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況という項目がある。2026年7月1日以降の申請から配点が変わった。

経審の審査項目改正前改正後
就業履歴を蓄積する措置 民間工事を含む全ての建設工事15点10点
就業履歴を蓄積する措置 全ての公共工事10点5点
建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度の宣言の有無項目なし5点

加点をもらうには、次の三つを全部やる必要がある。

  1. CCUS上で現場と契約情報を登録する
  2. 技能者が画面へ直接入力する方法によらずに就業履歴を蓄積できる体制を整える カードリーダーの読み取りや 就業履歴データ登録標準APIの連携認定を受けたシステムでの入退場記録がこれにあたる
  3. 経営事項審査の申請時に様式第6号の誓約書を出す

審査の対象は、審査基準日以前1年以内に発注者から直接請け負った建設工事だ。海外の工事、災害応急工事、そして軽微な工事は外れる。軽微な工事とは請負代金500万円(建築一式工事は1,500万円)に満たない工事などをいう。その1年に元請工事が1件もなければ加点はない。

外国人を雇うなら選ぶ余地がない

建設分野で1号特定技能外国人を受け入れるには、建設特定技能受入計画の認定が要る。その認定基準に、建設業法3条1項の許可を受けていること、CCUSに登録していること、そして1号特定技能外国人をCCUSに登録することが並んでいる。2号の場合も、受け入れる側にCCUSへの登録が求められる。

海外から新規に入国する場合は、入国後原則として1か月以内に、技能者IDが分かる書類としてカードの写しを国土交通省へ出す必要がある。昇給や手当の条件にレベルアップを使うなら、レベル判定ができる詳細型で登録しておく。

技能実習も同じ形だ。建設分野の技能実習計画の認定基準に、申請者の事業者登録と技能実習生の技能者登録が入っている。第1号技能実習計画については2020年1月1日以降に受理された認定申請から適用されている。

技能者の側に返るもの

CCUSはレベル1から4の4段階で技能者を評価する。レベル1は初級、レベル2は一人前、レベル3は職長として現場に従事できる者、レベル4は登録基幹技能者などにあたる。レベルごとにカードの色が変わるので、口で説明する前に相手へ伝わる。

国土交通省は、公共工事設計労務単価が賃金として支払われた場合に考えられるレベル別年収を公表している。2026年4月改定の全国値は次のとおり。標準値と目標値の二つの水準が示されている。

レベル標準値目標値
レベル1395万円535万円以上
レベル2444万円599万円以上
レベル3472万円664万円以上
レベル4572万円754万円以上

この金額に法的拘束力はなく、支払いを義務づけるものでもない。ただし国は、標準値を下回る支払いの事業者について、請負契約で労務費のダンピングが起きていないかを重点的に確認するとしている。自社の賃金が表のどこに立つかは、遅かれ早かれ人に見られる。

レベル2以上のカードを出すには、詳細型で登録したうえでレベル判定システムへ別途申し込む。能力評価の手数料は当面のあいだ全額支援されており、詳細型登録が済んでいる技能者が対象になる。予算枠に達した時点で終わる。

入れると増える手間

  • 元請は現場を開くたびに現場と契約情報を登録する
  • 下請はその現場に施工体制と自社の技能者を登録する
  • 現場にカードリーダーを置くか 認定を受けたAPI連携システムで入退場を取る
  • 技能者はカードを持ち歩き 現場に入るたびにタッチする
  • 事業者登録は5年 管理者IDは1年ごとに更新する

一番つまずくのは、タッチしているのに就業履歴として残っていない状態だ。施工体制に技能者が載っていない、所属事業者が古いまま、カードを忘れた日が抜ける。経審の加点も建退共の掛金充当も蓄積された履歴が根拠になるので、抜けている分は最初から無かったことになる。

蓄積した履歴は建退共の電子申請方式と連携でき、掛金の充当に使える。入退場を別のシステムで取っている会社は、連携認定を受けたシステム経由でCCUSへ流せる。同じ数字を二度打たなくていい。

どのくらいの会社がもう入っているか

2026年7月31日時点で、技能者の登録は1,893,445人、事業者の登録は315,210で、一人親方を除くと205,479になる。就業履歴の累計は283,682,383件で、7月の1か月だけで11,054の現場が新しく登録された。登録作業は外にも出せる。認定登録機関235か所、CCUS認定アドバイザー375名、CCUS登録行政書士1,245名が代行や相談を受けている。

入れると決めたときの順番

  1. 自社の資本金から事業者登録料を確認する 一人親方は0円
  2. 事業者登録をする 管理者IDが一つ自動で作られ 翌月に請求が届く
  3. 技能者を登録する レベル判定を使う人だけ詳細型にする
  4. 元請として現場を開く予定があるなら カードリーダーか認定API連携のどちらで取るか決める
  5. 経審を受けるなら 様式第6号の誓約書まで含めて申請前に揃える

最初から全員を詳細型で登録すると費用が跳ねる。レベル判定を実際に使う人から詳細型にして、残りは簡略型でいい。あとから簡略型を詳細型へ切り替えるのは変更申請でできて、手数料は2,400円だ。

日々の打刻や作業記録を電子で持っている会社ほど、就業履歴の抜けに早く気づく。記録を残す作業そのものを軽くする道具も増えている。

よくある質問

CCUSの登録は義務ですか
建設業者一般に対する法律上の義務ではありません。ただし建設分野で特定技能や技能実習の外国人を受け入れる場合は、計画の認定基準に事業者登録と本人の技能者登録が入っているため、実質的に避けられません。公共工事でも、経営事項審査の加点や発注者の総合評価を通じて条件に近づいています。
一人親方でも費用はかかりますか
事業者登録料は一人親方は0円です。管理者ID利用料は1IDあたり年2,400円で、通常の11,400円より低く設定されています。技能者としての登録料は別にかかり、インターネット申請なら簡略型2,500円、詳細型4,900円です。
現場利用料は誰が払いますか
現場と契約情報を登録した元請事業者が払います。1人日1現場あたり10円で、月末締めの事後精算です。国土交通省の直轄モデル工事では、カードリーダーの設置費用と現場利用料を実績に基づいて発注者が負担しています。
事業者登録はいつ更新しますか
有効期限は登録が完了した日から5年後の登録月末までです。更新申請は期限の6か月前からできます。期限までに更新申請をしないとCCUSが使えなくなるので、遅くとも1か月前までには出してください。
経営事項審査では何点もらえますか
就業履歴を蓄積するために必要な措置を、民間工事を含むすべての建設工事で実施していれば10点、すべての公共工事で実施していれば5点です。2026年7月1日以降の申請からこの配点になりました。同じ改正で、建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度の宣言の有無に5点が新設されています。
カードリーダーを置かず手入力ではだめですか
経審の加点要件は、技能者が直接入力する方法によらずに就業履歴を蓄積できる体制を整えていることです。カードリーダーでの読み取りや、就業履歴データ登録標準APIの連携認定を受けたシステムでの入退場記録が該当します。画面への手入力だけでは要件を満たしません。

出典: 建設キャリアアップシステム CCUSについて 利用方法・料金(一般財団法人建設業振興基金)

出典: 建設キャリアアップシステム 事業者更新手続きの流れと方法

出典: 建設キャリアアップシステムの運営状況について(2026年7月31日時点)

出典: 建設キャリアアップシステム紹介資料(日本語版)

出典: 国土交通省 CCUSポータル 公共工事におけるインセンティブ

出典: 国土交通省 経営事項審査の主な改正事項(令和8年7月1日施行)

出典: 国土交通省 現場登録及びカードリーダー等設置による加点措置

出典: 国土交通省 公共工事におけるCCUS活用の促進

出典: 国土交通省 CCUSレベル別年収の概要(令和8年4月改定)

出典: 国土交通省 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 建設分野の基準について

出典: 国土交通省 建設分野における技能実習制度の背景・概要

SOKUOYAKATA編集部

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