制度・法令10

産業廃棄物マニフェストと電子化で変わること

建設工事のマニフェストを交付するのは元請。紙で回すときの期限と5年保存、6月30日の報告書、電子に切り替えると消える作業を条文と省令で確認した。

産業廃棄物と書かれた囲いの前でマニフェスト(産業廃棄物管理票)を確認する作業員と、解体現場で動く重機の写真

先に結論 建設工事のマニフェストは元請が出す

建設工事が数次の請負で行われていても、その工事から出た廃棄物の排出事業者は、注文者から直接工事を請け負った元請業者になる。廃棄物処理法21条の3第1項がそう定めている。産業廃棄物の運搬や処分を他人に委託するなら、マニフェストを交付するのも、返ってきた写しを5年保存するのも、毎年6月30日までに都道府県知事へ報告書を出すのも元請だ。下請は原則として交付しない。電子マニフェストに切り替えると、このうち保存と報告書がまるごと消える。

やること紙マニフェスト電子マニフェスト
交付または登録廃棄物の引渡しと同時に交付引渡しから3日以内に情報処理センターへ登録
運搬終了の連絡運搬終了日から10日以内にB2票を送付運搬終了日から3日以内に報告
処分終了の連絡処分終了日から10日以内にD票とE票を送付処分終了日から3日以内に報告
保存交付分と返送分を5年間保存保存は不要 情報処理センターが保存
交付等状況報告書毎年6月30日までに自分で提出提出不要 情報処理センターが報告

マニフェストは何を確認するための紙か

産業廃棄物の処理を他人に任せるとき、書面の委託契約を結ぶ。マニフェストはその契約とは別の制度で、契約どおりに運ばれて処分されたことを排出事業者が自分で確認するために回す。渡して終わりではない。返ってきた写しをA票と突き合わせて、初めて確認したことになる。なお、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物を専門の業者に委託するときなど、交付が要らない場合が施行規則8条の19に並んでいる。鉄くずの引取りがこれに当たることがある。

元請が排出事業者になるということ

21条の3第1項は、建設工事に伴い生ずる廃棄物について、元請業者を事業者とすると書いている。解体工事も条文上の建設工事に含まれる。つまり、現場でごみを出したのが下請でも、委託契約もマニフェストも許可業者の確認も、元請の名前で回る。下請に「マニフェストを切っておいて」と頼む運用は、この条文とかみ合わない。

例外は3つある。1つ目は保管だ。下請が現場で行う保管については、下請も事業者とみなして保管基準の規定が適用される(21条の3第2項)。仮置き場の囲いや掲示板は、下請の側にも義務がかかる。

下請が自分で運べる場合の条件

2つ目の例外は、下請が自ら運ぶ場合だ。21条の3第3項と施行規則18条の2は、次のすべてに当てはまる廃棄物に限って、下請を事業者とみなす。書面の請負契約でそう定めておくことが前提になる。同じ者が2つ以上の契約に分けて請け負ったときは、正当な理由に基づく分割を除いて、1つの契約で請け負ったものとみて500万円の線を当てる(施行規則18条の2第2項)。

  • 解体 新築 増築を除く建設工事で 請負代金が500万円以下であること(引渡し済みの建物の瑕疵の修補工事は相当額が500万円以下)
  • 特別管理一般廃棄物と特別管理産業廃棄物でないこと
  • 1回に運ぶ量が1立方メートル以下と分かるように区分して運ぶこと
  • 運び先が 排出現場と同じ都道府県か隣接する都道府県にあり 元請が所有権か使用の権原を持つ施設であること
  • 運搬の途中で保管しないこと
3つ目の例外は、下請がその廃棄物の運搬や処分を他人に委託する場合。このときは下請を事業者とみなし、マニフェストの交付義務と電子マニフェストの規定が下請にかかる(21条の3第4項)。ただし、下請が許可業者で、元請から委託を受けた分をさらに他人へ委託するときは対象から外れる。自分で運ぶ話と他人に頼む話で、誰が交付するかが変わる。

紙のマニフェストが戻ってくるまで

紙のマニフェストは廃棄物の引渡しと同時に交付する。廃棄物の種類ごと、運搬先が2か所以上あるなら運搬先ごとに交付するのが原則だ(施行規則8条の20)。そこから先の動きは決まっている。

  1. 交付したA票を元請が手元に置く
  2. 運搬が終わったら 運搬受託者が10日以内にB2票を送り返す
  3. 処分が終わったら 処分受託者が10日以内にD票を送り返す
  4. 最終処分まで終わったら E票が送り返される
  5. A票と突き合わせて 運搬と処分が終わったことを確認する

問題は返ってこないときだ。法12条の3第8項は、決められた期間内に写しの送付を受けないとき、記載が欠けた写しや虚偽の写しを受け取ったときは、速やかに処理の状況を把握して適切な措置を講じることを求めている。期間は施行規則8条の28にある。

待つ写し期限の起算期限
運搬終了 処分終了の写し管理票の交付日90日
運搬終了 処分終了の写し(特別管理産業廃棄物)管理票の交付日60日
最終処分終了が記載された写し管理票の交付日180日

この期間を過ぎたら、生活環境への支障を防ぐ措置を取ったうえで、経過した日から30日以内に様式第4号の報告書を都道府県知事へ出す(施行規則8条の29)。電子マニフェストの場合も、情報処理センターから未報告の通知を受けたときは同じ30日以内に出す。使う書式は様式第5号になる(施行規則8条の38)。

5年間置いておくもの

保存義務は交付した側にも受託した側にもある。期間はすべて5年だ。

  • 元請が交付した管理票の写し 交付の日から5年(法12条の3第2項 施行規則8条の21の2)
  • 元請が送付を受けた管理票の写し 受け取った日から5年(法12条の3第6項 施行規則8条の26)
  • 運搬受託者の管理票と写し 5年(法12条の3第9項 施行規則8条の30)
  • 処分受託者の管理票 5年(法12条の3第10項 施行規則8条の30の2)

保存しなかった場合は罰則の対象になる。法27条の2第5号に、管理票またはその写しを保存しなかった者が名指しで並んでいる。現場が終わって事務所の棚に移した束を、5年たつ前に捨てるとここに当たる。

6月30日の報告書

マニフェストを交付した者は、事業場ごとに、その年の3月31日以前の1年間に交付した状況を、様式第3号で都道府県知事に提出する。期限は毎年6月30日(法12条の3第7項 施行規則8条の27)。書くのは産業廃棄物の種類、排出量、交付枚数、運搬受託者と処分受託者の許可番号と名称、運搬先と処分場所の住所だ。

この報告書は、電子マニフェストで登録した分については要らない。情報処理センターが法12条の5第9項に基づいて都道府県知事に報告するからだ。紙と電子を併用している場合は、紙で交付した分だけを自分で報告する。

電子にすると消える作業

電子マニフェストは、紙を交付する代わりに、同じ内容を情報処理センターに登録する仕組みだ。センターは法13条の2に基づいて指定され、全国で1つ、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが運営している。排出事業者と収集運搬業者と処分業者の3者が加入して初めて動く。

  • 伝票の束を5年保存する場所と手間がなくなる
  • 6月30日の交付等状況報告書を作らなくてよくなる
  • 終了報告の有無を画面と通知で確認できる
  • 必須項目が欠けたままでは登録できないので 書き漏らしが残らない

代わりに期限が短くなる。排出事業者は引渡しから3日以内に登録し、運搬受託者と処分受託者は終了日から3日以内に報告する。この3日には、土曜日、日曜日、祝日、1月2日と3日、12月29日から31日を数えない(施行規則8条の31の6 8条の34)。引渡し日そのものも数えない。

義務になるのはどんな会社か

電子マニフェストの使用が義務づけられているのは、特別管理産業廃棄物を多く出す事業場を持つ事業者だ。前々年度の発生量が1つの事業場で50トン以上あると対象になる。ここで数える特別管理産業廃棄物からは、廃PCB等、PCB汚染物、PCB処理物が除かれる(法12条の5第1項 施行規則8条の31の2 8条の31の3)。この義務は2020年4月から施行された。

建設業で効いてくるのは廃石綿等だ。吹付け材や石綿を含む建材の除去工事から出る飛散のおそれがあるものは、政令で特別管理産業廃棄物とされている(施行令2条の4第5号ト)。解体の量が多い会社は、義務の対象かどうかを毎年たしかめておく。50トンに届かなくても、加入して登録すること自体は誰でもできる。

かかる費用

排出事業者の料金は年間の登録件数で選ぶ。以下は税込で、2026年8月時点の額だ。

区分基本料 年額使用料 1件あたり
排出事業者 A料金26,400円11円(無料枠なし)
排出事業者 B料金1,980円90件まで無料 91件目から22円
排出事業者 C料金(団体加入)110円5件まで無料 6件目から22円
収集運搬業者13,200円基本料のみ
処分業者 処分報告のみ13,200円基本料のみ

A料金とB料金の分かれ目は年2,400件あたりで、年に数十件なら基本料1,980円に収まることもある。C料金は加入者が20者以上いる団体で利用代表者を立てる場合の区分だ。2027年4月1日に料金が改定される。なお環境省が2017年2月にまとめた総点検の報告は、元請から運搬を受託する下請の建設業者は運搬の頻度が少ないため電子マニフェストに踏み切れない場合がある、と書いている。3者のうち1者でも加入していなければ電子では回らない。

違反したときに起きること

マニフェストに関する義務違反は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金にあたる(法27条の2)。対象になる行為が11号まで並んでいる。

  • 管理票を交付しない 必要事項を書かない 虚偽を書いて交付する
  • 運搬受託者が写しを送らない 処分受託者に回付しない
  • 処分受託者が写しを送らない 虚偽を書いて送る
  • 管理票やその写しを保存しない
  • 情報処理センターに虚偽の登録や虚偽の報告をする

登録も交付もしないまま放置した場合は、都道府県知事がまず勧告を出し、従わなければ公表し、それでも動かなければ命令を出せる(法12条の6)。命令に従わないと罰則にかかる。さらに、処理基準に適合しない処理が行われて生活環境に支障が生じたときは、マニフェストの義務に違反していた者も措置命令の相手になる(法19条の5第1項第3号)。この命令に従わなければ5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはその併科だ。

いま何割が電子か

2025年度の捕捉率は約66.5パーセント。産業廃棄物の委託処理量に対して、電子マニフェストで把握されている量の割合だ。第五次循環型社会形成推進基本計画は2030年に75パーセントを目標にしている。直近1年の登録件数は48,721千件(2025年8月から2026年7月)。残りの3割強はまだ電子で把握されていない。

明日からできること

  1. 自社が元請として交付しているマニフェストの束を 現場ごとに数える
  2. 前々年度の特別管理産業廃棄物の発生量を 事業場ごとに出して50トンと比べる
  3. 主な運搬と処分の委託先が電子マニフェストに加入しているかを聞く
  4. 6月30日の報告書に何時間かかったかを記録して 料金表と並べる

紙で回すか電子にするかは、件数と委託先の顔ぶれで決まる。どちらを選んでも、いつ誰に何を渡したかを現場で残せていることが前提になる。その記録を取る作業そのものを軽くする道具もある。

よくある質問

建設工事のマニフェストは元請と下請のどちらが交付しますか
元請です。廃棄物処理法21条の3第1項が、建設工事に伴い生ずる廃棄物については元請業者を事業者とすると定めています。下請が交付するのは、下請が自らその廃棄物の運搬や処分を他人に委託する場合など、条文で例外とされた場面に限られます。
マニフェストの保存期間は何年ですか
5年です。元請が交付した写しは交付の日から、送付を受けた写しは受け取った日から数えます。運搬受託者と処分受託者の保存期間も同じく5年です。保存しなかった場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。
電子マニフェストは義務ですか
全社が義務ではありません。前々年度に1つの事業場で特別管理産業廃棄物を50トン以上出した事業者が対象で、この義務は2020年4月から施行されています。数える量からは廃PCB等とPCB汚染物とPCB処理物が除かれます。対象外でも任意で加入できます。
マニフェスト交付等状況報告書はいつまでに出しますか
毎年6月30日までです。前年度の4月1日から3月31日までに交付した分を、事業場ごとに様式第3号で都道府県知事へ提出します。電子マニフェストで登録した分は情報処理センターが報告するため、自分で出す必要はありません。
紙と電子を両方使ってもいいですか
使えます。両方を使った場合、交付等状況報告書は紙で交付した分だけを自分で提出します。ただし電子は排出事業者と収集運搬業者と処分業者の3者が加入していないと使えないため、委託先によって紙と電子が混ざるのが現実的な形です。
B2票が返ってこないときはどうすればいいですか
交付の日から90日、特別管理産業廃棄物なら60日を過ぎたら、まず処理の状況を把握して生活環境への支障を防ぐ措置を取ります。そのうえで、期間が経過した日から30日以内に様式第4号の報告書を都道府県知事へ提出します。放置すると勧告と措置命令の対象になります。

出典: 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)e-Gov法令検索

出典: 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)e-Gov法令検索

出典: 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)e-Gov法令検索

出典: 環境省 産業廃棄物管理票・電子マニフェスト関連

出典: 環境省 電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップ(平成30年10月)

出典: 環境省 電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップに基づくマニフェスト制度の運用状況の総点検に関する報告(平成29年2月)

出典: 日本産業廃棄物処理振興センター 紙マニフェストとの運用比較

出典: 日本産業廃棄物処理振興センター 捕捉率・登録件数

出典: 日本産業廃棄物処理振興センター 電子マニフェスト利用料金

出典: 日本産業廃棄物処理振興センター マニフェスト交付等状況報告書

出典: 日本産業廃棄物処理振興センター 措置命令と罰則

出典: 日本産業廃棄物処理振興センター 導入のメリット

SOKUOYAKATA編集部

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