先に結論 許可は要件を切らさず5年ごとに更新する
建設業許可でつまずくのは、取るときより持ち続けるときが多い。要件は取得時に一度満たせばよいものではなく、5年のあいだずっと満たしていなければならない。経営業務の管理責任者や営業所技術者が退職して後任がいない期間ができると、それだけで許可の取消し事由になる。更新の申請は有効期間満了の日の30日前まで。そして毎年の決算変更届を出していないと、更新の前にまとめて5期分を作る羽目になる。
| 見るところ | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 経営業務の管理 | 建設業の経営を管理した経験のある常勤役員等を置く 社会保険にも入る | 法7条1号 規則7条 |
| 営業所技術者 | 営業所ごとに 資格か実務経験のある技術者を専任で置く | 法7条2号 法15条2号 |
| 誠実性 | 請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでない | 法7条3号 |
| 財産的基礎 | 一般は自己資本500万円以上など 特定はさらに重い | 法7条4号 法15条3号 |
| 欠格要件 | 破産 許可取消しから5年 拘禁刑 暴力団関係など14項目に当たらない | 法8条 |
| 有効期間 | 5年 更新を受けなければ期間の経過で失効する | 法3条3項 |
許可がいるのはどこからか
建設工事の完成を請け負うことを営業するなら、公共でも民間でも許可がいる。例外は軽微な建設工事だけを請け負う場合だけだ。金額には消費税と地方消費税を含めて数える。
- 建築一式工事以外の工事: 1件の請負代金が500万円未満
- 建築一式工事: 1件の請負代金が1,500万円未満
- 建築一式工事: 延べ面積150平方メートル未満の木造住宅
同一の建設業を営む者が工事の完成を2つ以上の契約に分けて請け負ったときは、各契約の額を合計して判定する(施行令1条の2第2項)。正当な理由に基づいて分割したときだけは、同項ただし書で合算の対象から外れる。注文者が材料を出す場合は、その市場価格を請負代金の額に加える。運送賃がかかるときは運送賃も加える(同条3項)。金額を下げるために分けた、という数え方は通らない。
一般と特定はどこで分かれるか
発注者から直接請け負った1件の工事について、下請契約の総額が5,000万円(建築工事業は8,000万円)以上になるなら、特定建設業の許可がいる。この金額は令和7年2月1日に、4,500万円と7,000万円から引き上げられた。下請として工事を施工するだけなら、金額がいくらでもこの制限はかからない。
建設工事は土木一式と建築一式のほか27の専門工事、合わせて29種類に分かれている。許可はこの業種ごとに取る。同時に複数を取ることも、あとから追加することもできる。
4つの要件を一つずつ見る
経営業務の管理は令和2年10月に体制で見る形へ変わった
改正前の建設業法7条1号は、許可を受けようとする建設業に関して5年以上の経営業務の管理責任者としての経験がある常勤役員を1人求めていた。業種ごとの経験が要るので、ここで詰まる会社が多かった。令和2年10月1日施行の改正で、条文は「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること」に変わり、建設業の種類ごとの区別も廃止された。その基準を書いているのが建設業法施行規則7条1号だ。次のどれかに当たる体制であればよい。
- 常勤役員等のうち1人が 建設業に関し5年以上 経営業務の管理責任者としての経験を持つ
- 常勤役員等のうち1人が 建設業に関し5年以上 経営業務の管理責任者に準ずる地位で経営業務を管理した経験を持つ(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)
- 常勤役員等のうち1人が 建設業に関し6年以上 経営業務の管理責任者に準ずる地位で管理責任者を補佐した経験を持つ
- 建設業で2年以上の役員等の経験があり かつ5年以上 役員等または役員等に次ぐ職制上の地位にあった者を置き 財務管理 労務管理 業務運営それぞれの経験者を直接の補佐に付ける
- 5年以上の役員等の経験があり かつ建設業で2年以上の役員等の経験がある者を置き 同じ3つの補佐を付ける
下の2つで補佐に付ける3つの経験は、1人が兼ねてもよい。ただしその5年以上の業務経験は、自社での経験に限られる。ほかから引っ張ってきた人の他社での経験は数えられない。
同じ改正で、規則7条2号に社会保険への加入が入った。健康保険と厚生年金保険は適用事業所に当たるすべての営業所、雇用保険は適用事業の事業所に当たるすべての営業所について、届出を出していること。労働者一人ひとりの加入までは問われない。
営業所技術者は営業所ごとに専任で置く
令和6年12月13日に施行された改正で、条文に営業所技術者という言葉が入った。それまでの7条2号は「その営業所ごとに、次のいずれかに該当する者で専任のものを置く者であること」としか書いていない。専任技術者は実務での呼び名だった。見積や入札や契約は営業所ごとに行われるので、その営業所に常勤していることが要る。
一般建設業なら、指定学科を修めて高校卒業後5年以上か大学・高専卒業後3年以上の実務経験がある者、その建設業に関して10年以上の実務経験がある者、または国家資格を持つ者が当たる。特定建設業はもっと狭い。国家資格者か、一般の要件を満たしたうえで、発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的な実務経験がある者に限られる。
土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7業種は指定建設業とされている(施行令5条の2)。この7つで特定建設業を取るときは、実務経験だけで営業所技術者を立てることができない。国家資格か大臣認定が要る。
財産的基礎は一般と特定で別の物差し
| 区分 | 満たすもの |
|---|---|
| 一般建設業(いずれか) | 自己資本500万円以上 / 500万円以上の資金調達能力 / 申請直前の過去5年間 許可を受けて継続して営業した実績 |
| 特定建設業(すべて) | 欠損の額が資本金の20%を超えない / 流動比率75%以上 / 資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上 |
特定が重いのは、下請への支払を背負う立場だからだ。特定建設業者は、目的物の引渡しの申出があってから50日以内に下請代金を支払う義務を負う。発注者からまだ入金がなくても、である。
欠格要件は更新のときに見る範囲が違う
建設業法8条は14の項目を並べている。破産して復権を得ていない、不正な手段などで許可を取り消されてその取消しの日から5年たっていない、拘禁刑以上の刑を受けてその執行を終わった日から5年たっていない、建設業法や労働者の使用に関する政令で定める法令に違反して罰金刑を受け同じく執行を終わった日から5年たっていない、暴力団員である、といったものだ。役員等や政令で定める使用人が1人でも当たれば、会社ごと許可が下りない。
更新のときに見られるのは1号と7号から14号までに絞られる。破産、刑罰、暴力団関係、心身の故障などが残り、営業停止処分中といった項目は外れる。ただし申請書や添付書類に重要な事項の虚偽記載があれば、新規でも更新でも許可されない。
5年ごとの更新でつまずくところ
申請は満了の30日前まで
建設業法施行規則5条は、更新を受けようとする者は有効期間満了の日の30日前までに許可申請書を提出しなければならない、と定めている。早く出して損はない。満了日までに処分が出なくても従前の許可は処分が出るまで効力を持つし(法3条4項)、更新されたときの有効期間は従前の満了日の翌日から起算される(同条5項)。早く出したぶん次の5年が削られることはない。
決算変更届を出していないと更新に進めない
建設業法11条2項は、毎事業年度終了時の工事経歴書と直前3年の工事施工金額を記載した書面などを、毎事業年度経過後4か月以内に提出するよう求めている。決算変更届と呼ばれるものだ。出さなくても、その場では何も起きない。だから5年たって更新の段になり、5期分をまとめて作ることになる。提出しないこと自体に、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金という罰則がある(法50条1項2号)。
後からそろえるのがきついのは工事経歴書だ。その事業年度に施工した工事を、注文者、工事名、工事現場の所在地、請負代金の額、着工と完成の年月で並べる。5年前の案件を、記憶と紙の束から拾い直す作業になる。毎年出していれば、1年ぶんずつで済む。
人が抜けた日から穴が開く
国土交通省は、許可を取得した後に経営業務の管理責任者等が退職して後任が不在となった場合は要件欠如で許可の取消しになる、と明記している。根拠は建設業法29条1項1号で、この取消しは「取り消さなければならない」と書かれた必要的なものだ。営業所技術者が不在になった場合も、同じく取消しの対象になる。
届出の期限も短い。営業所技術者がその営業所に置かれなくなり、代わるべき者があるときは2週間以内(法11条4項)。7条1号か2号の基準を満たさなくなったとき、8条1号や7号から14号に当たるようになったときも2週間以内に届け出る(同条5項)。この届出を怠ったことにも罰則が置かれている(法50条1項2号3号)。
対策は1つしかない。要件を1人に背負わせている状態をやめることだ。経営業務の管理責任者になれる人と、営業所技術者になれる資格者を、それぞれもう1人ずつ社内に用意しておく。退職の話が出てから探し始めると間に合わない。
5年のあいだに出す届出
| 事由 | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 商号 営業所 資本金 役員等 営業所技術者の氏名の変更 | 30日以内 | 法11条1項 |
| 毎事業年度終了後の決算変更届 | 事業年度経過後4か月以内 | 法11条2項 |
| 使用人数などの変更 | 事業年度経過後4か月以内 | 法11条3項 |
| 営業所技術者が置かれなくなり代わりがいるとき | 2週間以内 | 法11条4項 |
| 要件を満たさなくなったとき 欠格要件に当たったとき | 2週間以内 | 法11条5項 |
| 廃業 死亡 合併消滅 解散 | 30日以内 | 法12条 |
| 更新の申請 | 有効期間満了の日の30日前まで | 規則5条 |
もう1つ、営業を1年以上休むと取消し事由になる(法29条1項4号)。許可を受けてから1年以内に営業を開始しない場合も同じだ。仕事を止めている期間があるなら、ここは頭に入れておく。
失効させたときに起きること
更新を受けなければ、許可は期間の経過によって効力を失う(法3条3項)。失効に気づかないまま軽微な建設工事の範囲を超える工事、建築一式工事以外なら1件500万円以上の工事を請け負えば、無許可営業になる。罰は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、情状により両方を科すこともできる(法47条)。取り直しは更新ではなく新規の申請からで、経営業務の管理や営業所技術者の証明を最初からそろえ直すことになる。手数料も変わる。更新のうちに出しておくほうが安い。
| 区分 | 新規 | 更新および同一区分内の追加 |
|---|---|---|
| 都道府県知事許可 | 9万円 | 5万円 |
| 国土交通大臣許可 | 登録免許税15万円 | 5万円 |
明日やること
- 許可証を出して 有効期間満了の日をカレンダーの13か月前に入れる
- 決算変更届を何期ぶん出しているか 許可行政庁に確認する
- 経営業務の管理責任者と営業所技術者の 代わりになれる人を1人ずつ決める
- 工事経歴書に要る項目を 案件が終わるたびに残す形にする
工事経歴書に要る項目は、案件が動いているあいだに自然にたまるものばかりだ。注文者、工事名、現場の場所、請負代金の額、着工と完成の日。いまは決算のたびに集め直す仕事になっているだけで、記録の置き場を1つにすれば転記で済む。そういう作業を軽くする道具もある。
よくある質問
- 建設業許可の更新はいつまでに申請すればいいですか
- 建設業法施行規則5条で、有効期間満了の日の30日前までに許可申請書を提出することとされています。満了日までに処分が出なくても、従前の許可は処分が出るまで効力を持ちます。更新後の有効期間は従前の満了日の翌日から起算されるので、早めに出しても次の5年が短くなることはありません。
- 決算変更届を出していないと更新できませんか
- 決算変更届は建設業法11条2項の義務で、毎事業年度経過後4か月以内に出します。未提出の期があると、更新の前にその分をまとめて出すことになります。提出しなかったこと自体に、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金という罰則もあります。
- 経営業務の管理責任者が退職したらどうなりますか
- 後任が不在になると要件を欠くため、建設業法29条1項1号により許可が取り消されます。国土交通省もこの点を明記しています。代わるべき者があるときは2週間以内に届け出ることになっているので、退職の話が出た時点で候補を決めておくのが現実的です。
- 500万円未満の工事しか請け負わないなら許可はいりませんか
- 軽微な建設工事だけを請け負う場合は、許可がなくても営業できます。建築一式工事以外は1件500万円未満、建築一式工事は1,500万円未満または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅です。金額には消費税を含め、契約を分けたときは合計して判定します。
- 一般建設業と特定建設業はどちらを取ればいいですか
- 発注者から直接請け負った1件の工事で、下請契約の総額が5,000万円(建築工事業は8,000万円)以上になるなら特定建設業が必要です。それ未満なら一般で足ります。下請として施工するだけであれば、請負金額がいくらでもこの制限はかかりません。
- 許可が失効したら取り直せますか
- 取り直せますが、更新ではなく新規の申請になります。経営業務の管理や営業所技術者の証明を最初からそろえ直すことになり、手数料も都道府県知事許可なら5万円ではなく9万円です。失効中に軽微な建設工事を超える工事を請け負うと、無許可営業になります。
出典: 建設業法(昭和24年法律第100号)e-Gov法令検索
出典: 建設業法 令和2年10月1日施行時点の条文(令和元年法律第30号による改正)e-Gov法令検索
出典: 建設業法 令和6年12月13日施行時点の条文(令和6年法律第49号による改正)e-Gov法令検索
出典: 建設業法施行令(昭和31年政令第273号)e-Gov法令検索
出典: 建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)e-Gov法令検索
出典: 国土交通省 建設業の許可とは
出典: 国土交通省 許可の要件
出典: 国土交通省 許可申請の手続き
SOKUOYAKATA編集部
