制度・法令8

決算変更届と各種変更届の出し忘れが招くこと

決算後4か月、変更後30日か2週間。建設業法11条と12条が課している届出の期限と、出し忘れたときに実際に何が起きるかを条文からたどった。

先に結論 締切は決算後4か月と変更後30日か2週間

建設業の許可を持つ会社が出す届出は二種類ある。毎年出すものと、変えたら出すものだ。決算変更届は毎事業年度が終わってから4か月以内。商号や資本金や役員や営業所を変えたら30日以内。営業所技術者や経営業務の管理責任者や支店長の入れ替わりは2週間以内。根拠は建設業法11条と12条、それに建設業法施行規則で、出さないと罰則と指示処分の対象になり、5年ごとの更新のときに手続きが止まる。

届出期限根拠
決算変更届(事業年度終了届)毎事業年度が経過してから4か月以内建設業法11条2項
商号又は名称の変更30日以内建設業法11条1項
主たる営業所の所在地 電話番号 郵便番号の変更30日以内建設業法11条1項
資本金額の変更30日以内建設業法11条1項
代表者の変更 役員等の就任 退任 氏名変更30日以内建設業法11条1項
支店など営業所の新設 廃止 名称や所在地の変更30日以内建設業法11条1項
支配人 支店長 営業所長になった者があるとき2週間以内建設業法施行規則8条
経営業務の管理責任者と補佐する者の変更2週間以内建設業法施行規則7条の2
営業所技術者の交代 氏名変更2週間以内建設業法11条4項 施行規則7条の2
許可の要件を満たさなくなったとき2週間以内建設業法11条5項
健康保険等の加入状況の変更2週間以内(従業員数だけなら4か月以内)建設業法施行規則7条の2第3項
廃業届30日以内建設業法12条

決算変更届は毎年出す届出

建設業法11条2項は、許可を受けた建設業者は毎事業年度終了の時における工事経歴書と直前3年の工事施工金額の書面、その他省令で定める書類を、毎事業年度経過後4月以内に提出しなければならないと定めている。決算月が3月なら7月末、9月なら翌年1月末が締切になる。確定申告の期限とは別で、税務署に出したかどうかは関係ない。

毎年つけて出す書類

  • 様式第2号 工事経歴書
  • 様式第3号 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  • 貸借対照表と損益計算書(法人は完成工事原価報告書付き 個人は様式第18号と第19号)
  • 株主資本等変動計算書と注記表(法人)
  • 事業報告書(特例有限会社を除く株式会社)
  • 納税証明書(大臣許可は法人税か所得税 知事許可は事業税)

資本金1億円超か、最終事業年度の負債合計が200億円以上の株式会社は、様式第17号の3の附属明細表も加わる。財務諸表は建設業法施行規則が定めた様式で作るもので、税理士が作った決算書をそのまま綴じて済ませることはできない。納税証明書は写しでは受け付けられず原本が要る。

事業報告書は、会社法438条に基づいて取締役が定時株主総会に提出して内容を報告したものと同一のものでよい。国土交通省の建設業許可事務ガイドラインは、様式については問わないとしている。株主総会の招集通知に貸借対照表などとまとめて綴じてある場合は、その冊子を出せば足りる。

変わったときだけ足す書類

  • 様式第4号 使用人数
  • 様式第11号 建設業法施行令3条に規定する使用人の一覧表
  • 定款
  • 様式第7号の3 健康保険等の加入状況

この4つは前年から変わっていなければ出さなくてよい。数字はどれも決算日時点のもので書く。健康保険等の加入状況を出すときは保険料の領収書や納入証明書、労働保険の申告書と領収済通知書の写しも添える。健康保険の変更が従業員数だけなら期限は2週間ではなく決算後4か月で、決算変更届と一緒に出す形になる。

工事経歴書に注文者の個人名を書かない

関東地方整備局の手引きは、工事経歴書の注文者と工事名に個人名を記載せず記号等で書くよう指示している。姓だけの記載も認めていない。理由は建設業法13条にある。許可行政庁は変更届出書と工事経歴書と工事施工金額の書面、財務諸表を公衆の閲覧に供する閲覧所を設けなければならない。出した書類は誰でも見られる場所に置かれる。

変更届は事由ごとに期限が違う

変更届でつまずくのは、全部30日だと思い込んでいる場合だ。人に関わるものはたいてい2週間しかない。技術者が交代した、支店長が代わった、経営業務の管理責任者が退任した。関東地方整備局の手引きは、この三つをいずれも2週間以内としている。登記や書類の準備を待っていると間に合わない。

株主にも決まりがある。総株主の議決権の100分の5以上を持つ株主に変更があったときは、変更を知ってから30日以内に届け出る。すでに載っている株主の持分比率が5%を下回らないなら提出は要らない。一方で、本店の登記上の所在地だけを変えて営業所の実際の場所が動かない場合は、届出は不要とされている。

役員が退任したときに、その人が経営業務の管理責任者や営業所技術者を兼ねていたなら、役員の変更届だけでは足りない。それぞれの立場についての届出も同時に出す。ここを落とすと、許可の要件を欠いた状態が届出上は見えないまま続く。

出さないと何が起きるか

罰金は法人にもかかる

建設業法50条1項2号は、11条1項から4項までの書類を提出せず、または虚偽の記載をして提出したときは、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と定める。11条5項の届出をしなかったときも同じだ。さらに53条2号で、行為者を罰するほか法人にも同額の罰金刑が科される。廃業届を怠った場合は55条1号により10万円以下の過料になる。

指示処分の対象として名指しされている

国土交通省の建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準は、建設業法28条1項に該当しない法令違反について指示処分を行うとしたうえで、具体的にどの条文かを列挙している。その先頭が11条だ。届出を出さないことは、うっかりでは済まされない扱いになっている。

指示処分に従わなければ、28条3項により1年以内の営業停止を命じられる。その営業停止に違反すれば、29条1項8号で許可が取り消される。いきなり最後まで行くわけではないが、階段はつながっている。

更新のときに手続きが進まなくなる

更新申請では、工事経歴書、直前3年の工事施工金額、使用人数、財務諸表、納税証明書の提出を省略できる。建設業許可事務ガイドラインがそう定めている。省略できるのは、それらが毎年の決算変更届で許可行政庁の手元に揃っているからだ。決算変更届を出していない会社には省略する元がない。

関東地方整備局の手引きは、必要な届出がされないと許可申請の手続きを行うことができない場合があると明記している。あわせて、提出期限内に出されなかったときは、出せなかった理由と今後の再発防止策について書面等で報告を求める場合があるとしている。3年分溜めていれば、更新の直前に3年分の決算書類を作り、そのうえで理由書を書くことになる。

許可の有効期間は5年で、5年ごとに更新を受けなければ期間の経過によって失効する。更新申請の期限は有効期間が満了する日の30日前まで。関東地方整備局は申請の受付を目安として3か月前からとしていて、大臣許可の標準処理期間は概ね90日程度と示している。準備に使える窓は思ったより狭い。

公共工事を取る会社はもう一段効く

国や地方公共団体などが発注する工事を直接請け負おうとする建設業者は、建設業法27条の23により経営事項審査を受けなければならない。対象になる工事は施行令45条が定めていて、請負代金が500万円以上、建築一式工事なら1500万円以上のものがこれにあたる。この審査で出す確認資料は、工事経歴書、工事施工金額、貸借対照表、損益計算書と、決算変更届で出す書類とほぼ同じだ。関東地方整備局は、電子申請で直前の決算変更届を提出済みならこれらの添付を不要としている。

つまり決算変更届が遅れると、経審が遅れ、経審が遅れると入札参加資格の更新に間に合わない。年に一度の書類仕事に見えて、翌年の受注機会に直結している。

溜めないための段取り

  1. 決算日から4か月後の日付を 決算を締める前にカレンダーへ入れる
  2. 工事経歴書は決算後にまとめて作らず 完成した工事から順に足していく
  3. 納税証明書は原本が要る 発行までの日数を逆算して取りに行く
  4. 役員 技術者 支店長の異動は 辞令を出す日に届出の担当者へ回す
  5. 許可通知書の有効期間満了日を 5年先の予定として登録しておく

一番効くのは2番目だ。工事経歴書は決算後に作る書類ではなく、1年かけて溜める書類として扱うと形が変わる。注文者名、工事名、工事現場のある都道府県、請負代金、着工と完成の年月。どれも工事が終わった時点なら手元にある情報で、半年後に思い出すものではない。

届出の期限が短いのは、許可の内容と会社の実態がずれている期間を短くするためだ。ずれたまま工事を請けている状態が続くと、困るのは発注者ではなく自社になる。日々の記録がそのまま書類の材料になっていれば、締切は締切として扱えるようになる。

よくある質問

決算変更届はいつまでに出しますか
毎事業年度が経過してから4か月以内です。決算月が3月なら7月末、9月なら翌年1月末が期限になります。建設業法11条2項に定められた期限で、税務申告の期限とは別に数えます。
赤字の年でも決算変更届は必要ですか
必要です。建設業法11条2項は業績を条件にしていません。工事の受注がなかった年も、工事経歴書と財務諸表を作って出します。出さないほうが罰則と指示処分の対象になる分だけ不利になります。
何年も出していません どうすればいいですか
溜まっている事業年度の分をそれぞれ作って出します。許可行政庁から、期限内に出せなかった理由と再発防止策について書面での報告を求められる場合があります。更新の直前に気づくと間に合わないので、更新の予定がある会社は先に片づけます。
役員が辞めたときの届出はいつまでですか
30日以内です。建設業法11条1項と5条3号に基づく変更届で、退任日が確認できる登記事項証明書を添えます。その役員が経営業務の管理責任者や営業所技術者を兼ねていた場合は、それぞれの届出も同時に出す必要があり、こちらは2週間以内です。
届出を出さないと罰則はありますか
あります。建設業法50条1項2号と3号により、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。53条2号で法人にも同額の罰金刑が科されます。廃業届を怠った場合は55条1号で10万円以下の過料になります。
更新のときに決算変更届が溜まっていたらどうなりますか
更新申請で工事経歴書や財務諸表の提出を省略できるのは、毎年の決算変更届が出ている前提があるからです。関東地方整備局は、必要な届出がされないと許可申請の手続きを行うことができない場合があると案内しています。更新申請の期限は有効期間が満了する日の30日前までです。

出典: 建設業法(昭和24年法律第100号)e-Gov法令検索

出典: 建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)e-Gov法令検索

出典: 建設業法施行令(昭和31年政令第273号)e-Gov法令検索

出典: 国土交通省 建設業の許可とは(許可の有効期間と更新)

出典: 国土交通省 建設業の許可 許可後の手続き

出典: 国土交通省 建設業許可事務ガイドライン(最終改正 令和7年2月1日国不建第161号)

出典: 国土交通省 建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準

出典: 関東地方整備局 建設業許可申請・変更の手引き 4 許可取得後の手続き

出典: 関東地方整備局 建設業許可申請・変更の手引き 3 許可申請の手続きについて

出典: 関東地方整備局 経営事項審査の運用について

SOKUOYAKATA編集部

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