先に結論 4つの数字のどれかに当たれば届出が要る
建設リサイクル法の届出が要るかどうかは、工事の種類ごとに決められた4つの数字で決まる。建築物の解体なら解体する部分の床面積の合計が80平方メートル以上、新築と増築なら床面積の合計が500平方メートル以上、それ以外の修繕や模様替なら請負代金が1億円以上、建築物以外の工作物なら請負代金が500万円以上。これに当たるものが対象建設工事で、発注者が工事に着手する日の7日前までに都道府県知事へ届け出る。
| 工事の種類 | 規模の基準 | 何で測るか |
|---|---|---|
| 建築物の解体工事 | 床面積の合計 80平方メートル以上 | 解体する部分の床面積 |
| 建築物の新築 増築 | 床面積の合計 500平方メートル以上 | 増築は増える部分だけ |
| 建築物の修繕 模様替など上の2つ以外 | 請負代金 1億円以上 | 税込の請負代金 |
| 建築物以外の工作物の解体 新築工事等 | 請負代金 500万円以上 | 税込の請負代金 |
前提がもう一つある。対象になるのは特定建設資材を使った工事だけで、特定建設資材は政令で4つに限られている。
- コンクリート
- コンクリート及び鉄から成る建設資材
- 木材
- アスファルト・コンクリート
この4つのどれも使っていない工事は、規模がいくら大きくても対象にならない。逆に、出る量がわずかでも、使っていて規模の基準以上なら対象になる。発生量の多い少ないは判断に入らない。
どの区分に入るかで基準が変わる
建築物の解体は床面積80平方メートル
数えるのは、建築基準法施行令1条3号でいう構造耐力上主要な部分を解体する部分の床面積だ。床面積は、各階またはその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積をいう。屋根だけなら屋根の直下の階の床面積で数える。柱や壁のように床面積の概念がないものだけを壊すならゼロとしてよい。構造耐力上主要な部分を壊さない工事は修繕・模様替等になる。
新築と増築は床面積500平方メートル
増築のときは増える部分の床面積だけで数える。建築物本体と設備工事を一括で発注していれば、設備の部分も込みで500平方メートルを見る。分けて発注すると、設備の側は修繕・模様替等の扱いになり、判断する数字が請負代金1億円に変わる。同じ工事でも発注のしかたで区分が動く。
修繕や模様替は請負代金1億円
建築物の工事のうち、新築でも増築でも解体でもないものがここに入る。給排水や電気などの建築設備だけを触る工事は、単独でやるかぎりすべてこの区分だ。請負代金は税込で見る。材料を支給されて手間だけを請け負う契約なら、支給された材料の市場価格を足した額で判断する。
工作物は請負代金500万円
土木工作物、コンクリートによる工作物、形鋼や鋼板を組み立てた工作物、機械器具を組み立てた工作物などが入る。門や塀は、建築物本体に付属していれば建築物、付属していなければ工作物になる。水道管やガス管は、敷地の中なら建築設備として建築物、外なら工作物だ。本体を壊してから相当の期間が経ったあと基礎や基礎ぐいだけを壊す場合も、工作物として500万円で見る。
同じ人が解体工事や新築工事等を2つ以上の契約に分割して請け負う場合は、1つの契約で請け負ったものとみなして基準を当てはめる。正当な理由に基づいて分割したときだけ別に見る。建て替えで仮移転先がなく、住宅を半分壊して建ててから残りを壊す場合などがこれに当たる。契約を割っても基準は下がらない。
誰がいつ何をするか
| いつ | やること | 誰が | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 契約の前 | 届出事項を書面で発注者に説明する | 元請になる業者 | 法12条1項 |
| 着手日の7日前まで | 分別解体等の計画を都道府県知事へ届け出る | 発注者 | 法10条1項 |
| 下請に出すとき | 届け出た内容を下請に告げる | 受注者 | 法12条3項 |
| 契約するとき | 分別解体等の方法など4項目を書面に記載する | 契約の当事者 | 法13条1項 |
| 再資源化等が終わったとき | 発注者へ書面で報告し記録を作って保存する | 元請業者 | 法18条1項 |
届出の名義は発注者だ。工務店が施主に代わって出すこと自体は禁じられていないが、業として代理できるのは行政書士と、建築物については建築士に限られる。委任状の要否は都道府県や市区町村で扱いが違うので窓口に聞く。請負契約によらず自分で施工する自主施工者は、自分で届け出る。
着工7日前の7日はどこから数えるか
着手の日は、現場で解体や新築の工事を始める日をいう。仮設が必要な工事なら仮設工事を始める日になる。除草などの準備工事は含めなくてよく、契約書の工期と一致していなくても差し支えない。都道府県知事は届出を受理した日から7日以内に限って計画の変更を命じられるので、この7日は審査のための時間でもある。
前倒しにも限度がある。届出書には元請業者の商号と代表者名を書く欄があり、契約前は元請が決まっていないので書けない。契約から着手までに7日を挟む工程を先に組む。
届出に書くこと
- 解体工事なら解体する建築物等の構造
- 新築工事等なら使用する特定建設資材の種類
- 工事着手の時期と工程の概要
- 分別解体等の計画
- 解体工事なら建築物等に用いられた建設資材の量の見込み
- 工事の名称と場所 工事の種類と規模
- 元請業者の商号と住所 許可業者なら主任技術者または監理技術者の氏名 登録業者なら技術管理者の氏名
様式は省令の別記様式第一号で決まっている。設計図か、現状を示す明瞭な写真を添える。着手前に省令で定める事項を変えるときは、着手日の7日前までに変更の届出を出す。着手後に発生量が変わっても変更届出は要らないが、分別解体等の義務は続くので計画のほうを直しながら施工する。
分別解体の順番は決まっている
届け出る分別解体等の計画は、こちらの都合で組めるものではない。建築物の解体は省令で工程の順序が決まっている。
- 建築設備 内装材その他の部分を取り外す
- 屋根ふき材を取り外す
- 外装材と、基礎および基礎ぐいを除いた構造耐力上主要な部分を取り壊す
- 基礎および基礎ぐいを取り壊す
最初の2つの工程は手作業でやる。構造上どうしても難しいときだけ機械との併用が認められる。内装材に木材が含まれるときは、木材と一体になった石膏ボードなどを先に外してから木材を外す。工作物は、附属する物の取り外し、基礎以外の部分、基礎および基礎ぐいの順になる。順序のほうも、構造上または施工の技術上この順によれない場合は外れるが、そのときは理由を分別解体等の計画に書く。
契約書と完了報告に残すもの
対象建設工事の請負契約では、建設業法19条1項の記載事項に加えて次の4項目を書面に書き、署名または記名押印をして相互に交付する。下請契約も同じだ。
- 分別解体等の方法
- 解体工事に要する費用
- 再資源化等をするための施設の名称と所在地
- 再資源化等に要する費用
再資源化等が終わったら、元請業者が発注者に書面で報告する。書くのは、完了した年月日、再資源化等をした施設の名称と所在地、要した費用の3つ。あわせて実施状況の記録を作り、保存する。様式はない。契約書面と完了報告は、相手方の承諾があれば電子でやり取りできる。
解体工事業の登録が要る場合
解体工事業を営むには都道府県知事の登録が要る。登録が要らないのは、土木工事業、建築工事業、解体工事業のいずれかの建設業許可を受けている場合だけだ。とび・土工工事業の許可で工作物の解体を請け負うなら、登録は別に必要になる。登録は5年ごとに更新しないと期間の経過で効力を失う。
解体工事を含む工事を請け負うなら、元請と下請のどちらも、許可か登録のどちらかを持っていなければならない。解体の部分を自分で施工するかどうかは関係ない。附帯工事として行う場合だけ要らない。登録した業者は、現場の施工の技術上の管理をする技術管理者を選任する。解体工事に関し8年以上の実務経験、一級または二級の建築士、一級の土木施工管理や建築施工管理の技術検定合格などが基準で、二級の技術検定でも種別によっては当たる。営業所と現場ごとに標識も掲げる。
守らなかったときの罰
| 違反 | 罰 |
|---|---|
| 届出をしない または虚偽の届出をした | 20万円以下の罰金 |
| 技術管理者を選任しない | 20万円以下の罰金 |
| 届出に対する変更命令に従わない | 30万円以下の罰金 |
| 分別解体等や再資源化等の命令に従わない | 50万円以下の罰金 |
| 登録を受けずに解体工事業を営んだ | 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 再資源化等の記録を作らない または保存しない | 10万円以下の過料 |
従業者が業務に関して違反すれば、行為者だけでなく法人にも同じ罰金が科される。無登録営業の刑は2025年6月1日から懲役ではなく拘禁刑になった。
現場で先に決めておくこと
- 見積の段階で 4つの区分のどれに当たるかと規模を出す
- 契約前の説明と 届出を誰の名前で出すかを施主と決める
- 仮設の開始日からさかのぼって 7日前の期限を工程表に入れる
- 完了報告に要る3項目を 処分先から受け取る流れを作る
抜けやすいのは最後だ。再資源化等をした施設の名称と要した費用は、工事が終わってから集めようとすると処分先に問い合わせ直すことになる。マニフェストの控えと一緒にその場で残す。記録を残す作業そのものを軽くする道具もある。
よくある質問
よくある質問
- 解体工事はすべて届出が必要ですか
- いいえ。建築物の解体は、構造耐力上主要な部分を壊す部分の床面積の合計が80平方メートル以上のときに要る。建築物以外の工作物なら請負代金500万円以上。コンクリートや木材などの特定建設資材を使っていない建物は、規模にかかわらず対象外だ。
- 届出は元請が出すのですか
- 法律上の届出義務者は発注者で、請負契約によらず自分で施工するならその施工者になる。工務店が代わりに出すことはできるが、業として代理できるのは行政書士と、建築物については建築士に限られる。委任状の要否は窓口ごとに違う。
- 着工7日前の着工とはいつですか
- 現場で解体や新築の工事を始める日をいう。仮設工事が必要なら、仮設を始める日が着手日になる。除草などの準備工事は含めなくてよく、契約書の工期と一致していなくても差し支えない。
- 契約を分ければ基準を下回りますか
- 下回らない。同じ人が2つ以上の契約に分割して請け負う場合は、1つの契約で請け負ったものとみなして基準を当てはめる。正当な理由に基づく分割だけが別扱いで、その判断は個別なので窓口で確認する。
- リフォーム工事でも届出が要りますか
- 柱や壁など構造耐力上主要な部分を壊す工事を伴うなら解体工事として扱い、床面積80平方メートルで判断する。床面積の測れない柱や壁だけならゼロとしてよく、その場合は対象にならない。構造に触らないなら修繕・模様替等になり、税込の請負代金1億円で見る。
- 建設業の許可があれば解体工事業の登録は要りませんか
- 土木工事業、建築工事業、解体工事業のいずれかの許可を受けていれば登録は要らない。とび・土工工事業の許可だけで工作物の解体を請け負うなら、別に登録が要る。登録は5年ごとの更新制で、切れると効力を失う。
出典: 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)e-Gov法令検索
出典: 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行令(平成12年政令第495号)e-Gov法令検索
出典: 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行規則(平成14年国土交通省・環境省令第1号)e-Gov法令検索
出典: 特定建設資材に係る分別解体等に関する省令(平成14年国土交通省令第17号)e-Gov法令検索
出典: 解体工事業に係る登録等に関する省令(平成13年国土交通省令第92号)e-Gov法令検索
SOKUOYAKATA編集部
